導入事例

HubSpot導入事例|株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ

作成者: Rodrigo Souto|2022/01/11 1:56:36

顧客接点を可視化し、販促活動のデジタル化を推進するために導入検討を開始

NTTPCコミュニケーションズの営業本部戦略企画部でデジタルマーケティングの実行責任者を務める谷口康忠氏(以下、谷口氏)は、現在注力している業務について、以下のように語ります。

「我々のチームが注力しているテーマは大きく2つです。

1つはHubSpotをフル活用したデジタルマーケティング施策の実行です。見込み客の獲得からインサイドセールス対応を通じ、営業が本来の受注活動に専念できるように、質の高い商談案件を創出する、つまり営業効率の最大化を狙っています。

もう1つは、見込み客との接点から受注までの営業プロセスを可視化し、そのデータを全社に展開すること。それによって、社内の誰もが簡単に数値を分析して、営業活動やサービス活動に役立てることができる環境を目指しています」(谷口氏)

営業効率の最大化と営業プロセスの透明化を業務テーマとする営業本部戦略企画部で、実際のオペレーションを担当しているのが向井英隆氏(以下、向井氏)です。

「私は主査という立場で、デジタルマーケティング施策の実行を担っています。例えば、HubSpotでコンタクトを管理してメルマガを送付したり、サービス担当者と連携してランディングページや問い合わせフォームの制作を担当しています」(向井氏)

谷口氏、向井氏ともに、これまでデジタルマーケティングとは無縁の部署に所属しており、サービス開発や実証実験(PoC)を担当していたそうです。両名が現在の部署に配属され、デジタルマーケティングを担当するようになった課題の背景には、属人的でルーズに管理されていた営業プロセスがあったと、向井氏は当時の状況を振り返ります。

「HubSpotを導入する以前は、デジタル上で営業プロセスを管理、可視化するような仕組みがありませんでした。例えば見込み客からお問い合わせがあっても、どういう経緯で流入してきたのか、どの施策の効果があったのか、その後は案件がどうなったのか、すべてを追うことはできなかったのです。

施策によってコンバージョンをどれだけ取れ、それがMQL(Marketing Qualified Lead:マーケティングによって創出されたリード)やSQL(Sales Qualified Lead:営業によって創出されたリード)、そして受注にどう至ったかをデータとして蓄積し、分析する仕組みが整っていない状況でした」(向井氏)

そうした状況を改善するため、谷口氏が現在の部署に着任したと同時に、DX推進プロジェクトを始動しました。

「このプロジェクトでまず着手したのが、ばらばらに運用されていたCRMのシステムをHubSpotをハブにして一本化すること。弊社が提供する40種類のサービスすべての営業プロセスを数値で追えるようにしました。デジタルマーケティングをやる上で、まずは数値を可視化しないことには、我々のチームだけでなく会社全体が1つの目標に向かって動けないと考えたからです」(谷口氏)

さまざまなツールとの連携とマーケティングの内製化の観点からHubSpotを選択

「DX推進PJ」の始動とほぼ同時に導入が決定したHubSpot。各社からさまざまなツールが提供されている中でHubSpotを採用するまでには、どのような要因があったのでしょうか。HubSpotの導入を推進した谷口氏に、ツールの比較検討について伺いました。

「ばらばらで使われてたCRMをAPIで簡単につなげられるものが必要であったことがまず1つの理由です。HubSpotは、クラウド名刺管理サービスのSansanといった、さまざまなツールとのAPI連携が実装されていたことは高ポイントでした。

そして、自分たちでマーケティング施策を内製して実行できるかどうかも重要なポイントでした。たまたまHubSpotのデモを自分でいじってみたときに、『これは使えるぞ』という手応えを感じたのです。初心者にも分かりやすいUIであり、価格も手頃感がありました。

また、 自分たちがやりたかった公式SNSの立ち上げからキーワード広告の管理まで、事細かく実行できるツールはHubSpotしかありませんでした。単にメルマガを配信し、ホーム画面でMQLを計測し、コンタクトを獲得、蓄積していくというシンプルなデジタルマーケティングであれば他社のツールでも良かったと思います。でも、どうせやるならそれ以上のことまでやりたい。そうなると、HubSpotが総合的にベストなツールであると判断しました」(谷口氏)

HubSpotの導入決定後、初めての触るツールに最初は戸惑いもあったものの、無事問題なく導入に成功したといいます。その背景には、HubSpotのカスタマーサポートチームによるフォローがありました。

「よくチャットで問合せをしているのですが、すごくレスが早いし、的を射た回答をいただけると感じますね。ツールを提供して『はい、おわり』ではなく、リアルなトレンドやマーケティングの考え方までしっかりフォローしていただいたのは嬉しかったです。

また、先日受講した『HubSpotアカデミー』では、インバウンドマーケティングといった専門的なスキルが非常に分かりやすく解説されており、すんなり理解することができました。そこで自分の頭の中の知識が再整理できたことで、チームメンバーにも共有するようにしています」(谷口氏)

谷口氏と向井氏が最初に取り組んだのは、フォームからの問い合わせや名刺情報、ウェビナー参加者といったばらばらに管理されていた顧客データを統合し、一元的に管理できるようにすることでした。

その後、キャンペーンページやランディングページにタグを埋め込み、HubSpotでトラッキングできるように整備し、そこで1年間蓄積されたコンタクト情報は4万5000人分にもなるそうです。

「4万5000人分のデータをすべてセグメントで分類し、オプトインを設定してメルマガを月に2回配信しています。また、TwitterとFacebookもHubSpotから管理をして施策を打っています。また、キーワード広告やSEO対策に関してもHubSpotですべて計測しています」(向井氏)

約2億円の施策コストの削減を実現し、毎年200%成長の売り上げに貢献

営業効率の最大化と営業プロセスの透明化をテーマとして始動した「DX推進PJ」。HubSpotの導入でどのような効果があったのでしょうか。谷口氏に定量的な成果を伺いました。

「営業プロセスを効率化した結果、ほぼすべての施策がHubSpotで管理できるようになりました。余計な分析で使っていたツールはすべて解約しました。その他にも、非効率的で無駄な施策を整理することができ、2019年度時点で約2億円の施策コストの削減が実現できました。

また、2019年度売上はおよそ2倍に増えています。2018年は4600万ほどしかデジタルマーケティングは受注で貢献していなかったのですが、2019年度末で9800万ほど売り上げに貢献することができました。

2020年度はさらに2倍の目標値で2億円のKPIを立てていたのですが、2020年12月時点で1億9800万でほぼ達成することができました。HubSpotのおかげで、今まで拾えていなかった顧客に対して確実にアプローチすることができるようになった結果です。

営業部長からも『リードの質がものすごく高くなった。感謝している』と何度も伝えられました」(谷口氏)

定性的な成果として、「営業プロセスの透明化」が実現された実感があると向井氏は語ります。

「営業だけでなく、サービス主幹やプロダクトオーナーからデジタル関連の相談が寄せられるようになりました。デジタルマーケティングが成果を出すようになり、全社的にデータが共有されるようになったことで部署間の連携がすごく強まったと思っています。

また、『HubSpotで何か施策を打てませんか?』という相談もきたりと、HubSpotを中心に施策が回ってきたと感じています」(向井氏)

HubSpotを導入したことで起きたもう1つの大きな変化が、SNSマーケティングの本格始動です。HubSpotというポータルサイトの中で、Twitter、Facebook、そしてYouTubeまでも運用できるようになり、懸念であった炎上リスクも管理できる体制が整ったそうです。

HubSpotの導入から始まった「DX推進PJ」は、今後どのように展開していくのでしょうか。谷口氏は「リソースの選択と集中」がポイントになると強調します。

「我々が本来やらなければならないことは、ネットワークやデータセンターといったサービスをお客様に提供し、それを維持していくことです。やるべきことを選択し、リソースを集中させるためにも、裏方であるデジタルマーケティングに余計なコストはかけず、いかに効率的に進めていくかを考えるべきだと思います。そういった観点で、HubSpotはデジタルマーケティングのポテンシャルを充分に活かせるツールです。

『DX推進PJ』を成功させ、デジタルマーケティングで売上高に貢献し、ゆくゆくは400社以上あるNTTグループに向けて私たちのノウハウを展開していきたいですね」(谷口氏)