CRM(顧客関係管理)ソフトウェアとは、企業が顧客とのやり取りを追跡するのに役立つツールです。市場への参入が始まってから数十年が経った今もなおCRM業界の規模は拡大しており、最近はクラウド型サービスの普及に伴い、CRMはモバイルツールへと発展しています。
このCRM業界は、2028年までに1,289億7千万ドル規模に到達する(英語)と予測されており、まだこのようなソフトウェアを利用していない企業も、近いうちに導入することが想定されます。
実際に、Harvard Business Review(英語)による2021年の調査では、金融サービス企業の64%が「顧客体験(CX)の向上」を今後の優先事項の第5位までに挙げています。
各種CRMソフトウェアが提供する機能は対象とするユーザーによって多種多様ですが、金融機関用CRMの多くには以下の機能が搭載されています。
現代、銀行やその他の金融サービスのデジタル化が進んでいます。2021年に行われた調査によると、米国の顧客の67%が銀行のモバイルアプリを利用したことがあり、41%が「デジタルのみ」の利用者として分類されました。
これらの顧客はアプリを利用しているだけではなく、ウェブサイトを訪問したり、担当者にEメールで連絡したり、ソーシャルメディア上でブランドとの接点を持ったりしています。そして、そうしたやり取りの全てが、顧客満足度に貢献しています。
これまで金融サービス業界では、担当者が始終、顧客に寄り添って直接話し合いやサポートを提供することにより、顧客体験を生み出してきました。しかし今では、少ないサポートで顧客が自ら対応できる環境へと移行しつつあります。顧客にとっては、最小限のサポートのみを必要とする便利な環境である一方、金融機関にとっては、顧客とやり取りする機会が少なくなり、接点を保つことが今まで以上に難しくなっています。
そこで、顧客を追跡し、コミュニケーションを促進して、つながりを維持するために役立つのが、オートメーション、セグメント別マーケティング、アナリティクスといったCRMの機能です。
金融サービス業向けCRMを利用すると、社内外のコミュニケーションを向上できるでしょう。マーケティング、営業、カスタマーサポートのうち、どの領域の改善に注力したい場合でも、必要な機能が備わっています。
CRMに投資すべき大きな理由の1つが、オートメーションです。Gmailを始めとする数多くのアプリとCRMを同期させることで、あらゆる情報をリアルタイムで最新の状態に保つことができます。
一元化された安全なデータベースに情報を保存することは、社内の全部門にメリットをもたらします。例えば、ソーシャルメディアにおける顧客とのコミュニケーションに注力している企業では、顧客とのメッセンジャーアプリ上のチャット情報をCRMに同期することができます。
さらに、Eメールでのやり取りをCRMに同期したり、顧客からの通話を録音したりできるので、それぞれの顧客ファイルに必要な全ての情報を記録することが可能です。こうして、コミュニケーション履歴を素早く把握できるようにすれば、重複したやり取りを防ぐことができ、ワークフローの改善にもつながります。
営業活動を行う際は、Eメールテンプレートを活用できます。営業担当者が選択できるオプションをいくつか用意し、金融サービス業向けCRMのデータがEメールに自動的に取り込まれるように設定しましょう。
Grand View Researchによると、社員10名以上の企業の91%が、CRMソフトウェアを利用して社員の生産性向上を支援することにより、営業活動に費やすことのできる時間を増加させています。
モバイル対応のCRMなら、ファイナンシャルアドバイザーはどこからでも顧客の情報にアクセスできます。つまり、顧客を訪問する際に、その顧客に関する全ての情報を直接見ながら話を進められるのです。
優れたCRMは、OutlookやSalesforceなどの外部ツールと連携するため、作業時間を短縮し、データのコピー操作による人為的なミスを防ぎます。
金融サービス業向けCRMにより、営業担当者とマーケティング担当者は、特定の顧客が価格ページをいつ再訪問したのか、あるいはマーケティングEメールをいつクリックしたのか、といった正確なデータを確認できます。
そのため、コンバージョンにつながる可能性が最も高いタイミングで、顧客にアプローチできるようになります。
顧客は、カスタマーサポートに電話をかけた際に、担当者が変わるたびに問題を繰り返し伝えなくてはならないことにうんざりしています。それが不満の原因となり、サービスの利用をやめることにつながります。
PwCが行ったグローバル調査では、回答者の32%が、お気に入りのブランドであっても、1度でもカスタマーサポートに不満を感じたら利用をやめることが明らかになりました。また、消費者の43%が、カスタマーサポートがとても良いなら価格が高くても構わないと答えています。
顧客からの電話をたらい回しにして何度も同じ説明をさせる代わりに、顧客とのやり取りをCRMシステムに記録しましょう。それにより、カスタマーサポートの担当者は、顧客が購入した製品やサービス、訪問したウェブサイト、過去に対応した担当者などの、全ての情報を把握することが可能になります。
Salesforce(英語)によると、営業担当者の85%が、顧客の傾向データは顧客へのプレゼンテーションの向上に役立つと断言しています。
顧客に関する情報がそろっていると、担当者は複数のプラットフォームを活用して顧客をサポートできます。顧客へのアップセルを行い、質の高い顧客体験を提供できます。
金融サービス業向けCRMには、複数のカスタマーサポート用ツールが搭載されています。
例えば、ナレッジベースを活用すれば、顧客が自力で問題を解決することことを支援できます。顧客はいつでも情報にアクセスでき、疑問に対する答えを見つけることができます。
また、チャットボットやウェブチャットには、時間を問わずトラブルを解決できるメリットがあります。
アカウントベースの営業は、それぞれの顧客に見合ったサービスを促進するのに役立ちますが、そのためにまずは顧客との信頼関係を築く必要があります。
金融サービス業向けCRMを活用して、顧客が何を希望しているのかを理解することにより、それぞれの顧客にとって最適なサービスを推奨しましょう。例えば、顧客がやり取りを希望する場でコミュニケーションを取ることが可能になります。
さらに、適切なCRMを利用すると、有望な見込み客を特定しやすくなり、顧客化の可能性が最も高いコンタクトに集中できます。CRMを以下の方法で活用し、見込み客をリピート客へと転換しましょう。
取引をまとめる段階になったら、CRMから取得した情報を使用して本格仕様の見積書を作成できます。さらに、顧客が希望するプラットフォームにおける決済方法を、CRM内で有効化することも可能です。
金融機関のビジネスは顧客との頻繁なコミュニケーションを基本としており、その要件を満たすCRMツールが必要となります。
そのため、顧客との明確かつ迅速なやり取りを可能にする機能を搭載していることが最優先となります。
さらに、金融サービス業向けCRMは、ビジネスと顧客の両方のニーズを満たすことを重視し、特にセキュリティーや顧客との信頼関係構築に配慮している必要があります。
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CRMを利用することで日々の業務負担が軽減されますが、ビジネスにもたらす効果を認識することも大切です。ここ数年、CRMは企業の成長に大きな影響を及ぼしており、需要は高まり続けています。
CRMを利用する営業企業の割合は2018年には59%でしたが、2020年には65%まで増加(英語)しています(Salesforce、2020年)。CRMの利用を開始した理由はさまざまですが、上位の回答には、ミーティング設定、コンテンツ配信、契約書作成などのタスクの自動化が挙げられています。
多くの企業は、顧客の定着率を高めるためにCRMソフトウェアを利用していると述べています。2021年の調査では、回答者の82%(英語)が、CRMを利用する上で「積極的な顧客の維持」が特に重要な目的だと答えています(Tinyclues、2021年)。
連携を活用した自動化も効果をもたらしています。パフォーマンスの良いリーダーの61%(英語)が、CRMを活用して少なくとも営業プロセスの一部を自動化していると回答しました。これに対し、パフォーマンスの不調なリーダーからの回答では、自動化を行っているのは46%にとどまりました。
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また、ウェブサイト、Eメール、電話、ソーシャルメディアなど、さまざまなコミュニケーションチャネルを通じたやり取りを集約できます。
マーケティングチームと営業チームが1部門であるかのように結束して機能することが、これまで以上に重要になっています。成長企業がこの目標を達成するには、CRMシステムが最適なソリューションとなります。
CRMは、顧客体験の向上や、組織内の効果的なコミュニケーションに役立ちます。
最も重要な点は、最新のCRMソリューションを活用することにより、急成長する営業チームの複雑なワークフローを支援できるということでしょう。CRMシステムによって、チーム内で常に同じ情報を共有でき、時間の効果的な活用が促進されます。そして、価値を生まない時間を浪費する多くの単純作業をなくすことができます。