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【事例あり】
マーケティングオートメーションのシナリオとは?作成方法と失敗しないポイント

No447_マーケティングオートメーション シナリオ

マーケティングオートメーションのシナリオとは、見込み客が購入に至るまでの行動を見越し、その行動に適切な対応を設定することです。

MAとコンテンツを活用したリードナーチャリングガイド

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 MAを活用して効率的なリードナーチャリングを実現しましょう

インターネットの普及とデジタル技術が進化した昨今、人々の興味・関心は迅速に変化しています。この変化に適切に対応するためにも、顧客のニーズに応じたマーケティング施策を展開する必要があります。

マ―ケティングオートメーションを運用するにあたってシナリオ設計のポイントを理解し活用すれば、より効果的なマーケティング施策を実行できるでしょう。

本記事では、マーケティングオートメーションにおけるシナリオの概要や重要とされる背景、効果的な設計方法を解説します。具体例や運用のポイントもご紹介するので、シナリオ設定の参考にお役立てください。

マーケティングオートメーションのシナリオとは

マーケティングオートメーションのシナリオとは、マーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)を利用して、見込み客の購入に至るまでの行動を想定し、実現するために描いた筋書きのことです。

主にリードナーチャリング(見込み客の醸成)に活用されますが、一般顧客や優良顧客との関係維持・向上にも用いられます。

例えば、無料トライアルを利用した見込み客に向けて、自動的にフォローアップメールを送信し、購入や契約の促進につながる情報提供を行うこともシナリオに該当します。シナリオを実践することで、効率的なコミュニケーションとターゲティングを展開し、見込み客のニーズに合わせた戦略的なアプローチを可能にします

 

シナリオ設計が重要な理由

シナリオ設計が重要とされる主な理由は、次の3つです。

  • 機会損失を防ぐ
  • 見込み客との関係構築
  • コストや工数の削減

見込み客の興味・関心が高いタイミングを逃さず適切なタイミングで正しいアプローチができれば、機会損失を防ぐことができるでしょう。高い精度でのアプローチを可能にするためにも、「誰に・いつ・何を・どのように」アプローチするのかを明確にしたシナリオ設定が求められます

また、MAツールにシナリオを設定すれば、見込み客のアクションにあわせて自動対応できるため、対応漏れによる見込み客の離脱防止が期待できます。自社への信頼性が高まり、見込み客との関係構築を効果的に行うことができるでしょう。

コストや工数の削減も重要な利点です。これまで手動で行っていたタスクやプロセスを自動化させることで効率的に処理でき、費用や時間、リソースの最適化が実現します。

MAツールには、顧客情報の収集、保存、状況に応じたコンテンツの自動提供などの機能が搭載されています。これらの機能の効果を最大限に引き出すためにも、適切なシナリオ設計が必須といえるでしょう。
 

効果的なマーケティングオートメーションのシナリオ設計の仕方

マーケティングオートメーションのシナリオ作成は、次の5つの要素をもとに作成します。

  1. 目的
  2. 誰に(ターゲット)
  3. いつ(タイミング)
  4. 何を(コンテンツ)
  5. どのように(チャネル)
     

1. 目的

まず、マーケティングオートメーションによってどのような結果を得たいのか、その目的を明確にします。目的が明確になるとシナリオ設計において最適な手法を選択でき、逆算的に予算や人的リソースも定まります。

シナリオの設計が円滑に進まない場合には、目的を再評価して、シナリオが目的から逸脱していないかを確認することが重要です。

<目的の例>

  • 資料請求を月に100件もらう
  • 無料トライアルを月に50件申し込んでもらう
  • ホワイトペーパーを月に30件ダウンロードしてもらう
  • ウェビナーを月に20件申し込んでもらう
     

2. 誰に(ターゲット)

シナリオの成果を最大化するために、ターゲットの属性を詳しく洗い出して絞り込むことが重要です。「誰に」を明確にすることで、アプローチを実施すべき効果的なタイミングや最適なコンテンツ、チャネルを決定できます。

ターゲットの明確化にあたり、まずは見込み客をフェーズに分けましょう。そのうえで居住エリアや年齢、性別といった属性によるセグメント分けを行います。事前にフェーズや属性からセグメントに分けて、それぞれにアプローチを割り当てることで、各アプローチの効果を計測し、傾向を統計的に分析できるようになります。

例えば、オンライン教育プラットフォームにおける施策の目的を、新規登録者を増やすことだと仮定しましょう。この場合のシナリオ設定における見込み客のフェーズや属性は次のような項目となります。

<見込み客のフェーズ>

  • Webサイトを訪問した人
  • 資料をダウンロードした人
  • メールマガジンを登録した人

<属性>

  • 居住エリア(都市部・地方)
  • 年齢(20代・30代・40代以上)
  • 性別(男性・女性)
  • 職業(学生・会社員・自営業)
  • 年収(中・高)
     

3. いつ(タイミング)

続いて、見込み客に対してコンテンツを提供するタイミングを設定します。次のように、起点となる行動、アプローチの頻度、時間帯を定めましょう。

<起点となる行動>

  • 見込み客がどの行動を起点としてアプローチを行うのか
    例)資料請求、無料トライアルの申し込み、商品購入など

<頻度>

  • どの程度の頻度でアプローチを行うのか
    例)1回目は資料請求時、2回目は3日後、3回目は、その1週間後など

<時間帯>

  • どの時間帯にアプローチを行うのか
    例)朝7時、夜8時など

例えばメールでアプローチをとる際は、セグメントされた顧客像をもとに開封率が高い時間帯を分析します。通勤時間となる朝や昼休み、仕事終わりなどを狙うと効果的でしょう。早朝や深夜など迷惑と感じられる時間帯でのアプローチは、メルマガを解除されるなど顧客離れのリスクが高まるので留意が必要です。

また、起点となる行動から目標行動までの期間に注目することも重要です。例えば、資料請求をした見込み客は商品に対する興味・関心を持っている状態であるため、間を空けず早期にアプローチするのが効果的です。
 

4. 何を(コンテンツ)

配信するコンテンツは、「誰に(ターゲット)」の段階で設定した見込み客が興味を持ちそうな内容を設定します

例えば、次のように顧客をライフサイクルごとに分け、各サイクルごとにコンテンツの内容を定めましょう。

<新規顧客向け>

  • 自社(ブランド)のアピールポイント、導入事例、無料トライアル情報などを紹介する

<一般顧客・優良顧客向け>

  • 関係性を維持するために、新商品やサービス、セールなどの案内を行う

<休眠顧客・離反顧客向け>

  • 自社(ブランド)の強みの紹介、割引クーポンといったインセンティブの提供

 

5. どのように(チャネル)

最後に、見込み客にアプローチを行うためのチャネルを決定します。チャネルとは、行動を起こすためのツールや手段のことです。

一般的に、チャネルはオフラインとオンラインの2つに大別されます。オンラインチャネルはインターネットを通じて行われる方法であり、オフラインチャネルは物理的な接触や出会いを伴う方法となります。

自社に最適なチャネルを選ぶためには、各チャネルの特徴を考慮することが重要です。

【オンライン】

<メール>

一般的で、かつ低コストで配信できる。見込み客の属性や興味にあわせた効果的なキャンペーンが可能。

<ダイレクトメッセージ(SMS)>

個人や法人の担当者あてに直接メッセージを送付する手法。ターゲットの反応を直接的に感じられるアプローチが可能。

<アウトバウンドコール>

アプローチできる時間が限られ、コストがかかるが、担当者が直接アプローチできる利点がある。対話を通じて効果的に情報提供できるため購買意欲が高い顧客に有効。

<Web広告>

広範な層にリーチできる。ターゲットの興味や行動に合わせた配信が可能。

<Webサイト>

オンラインの拠点として重要であり、情報提供や商品・サービスの紹介、見込み客とのインタラクションが行える。例えば、ポップアップの設置によって、購入率の増加や離脱率の低下などの効果が期待できる。

<SNS>

ソーシャルメディアを通じて、幅広いユーザーに対してコンテンツを提供し、対話や情報共有を行う。認知度向上やコミュニティの形成に効果的。

【オフライン】

<郵送DM>

手紙や資料を郵送する方法。見込み客・顧客に情報を直接届けられるため、購買意欲の高い相手には効果的なアプローチが可能。ただし、デザインや印刷、郵送代などのコストや準備、配送に時間がかかる。

<セミナー>

イベントに集まった参加者に対してプレゼンテーションや講義を行う方法。対面で直接コミュニケーションをとれるため信頼関係を築きやすく、詳細な情報を効果的に伝えられる。ただし、会場手配や参加者の動員にコストと労力がかかる。

<店頭での営業>

店舗や展示場で見込み客と対話し、商品やサービスを提案する方法。直接コミュニケーションをとれるので見込み客のニーズを把握しやすく、商品の特長や利点を実際に伝えて成約につなげられる。ただし、店舗の運営やスタッフの研修など、コストや労力がかかる。
 

マーケティングオートメーションのシナリオ事例(BtoBとBtoC)

ここでは、マーケティングオートメーションのシナリオ事例をBtoBとBtoCに分けてご紹介します。シナリオ作成の参考にご活用ください。
 

BtoBの場合

ウェビナーの実施

HubSpotの「Marketing Hub」を活用してシナリオを設計すれば、ウェビナー実施におけるリマインダーメールの送信や参加者・欠席者へのフォローアップ、営業部門への連携が容易に行えます。

  • リマインダーメールの自動送信
    ウェビナーの登録者を対象に、見込み客のスマートリストを作成します。続いて、自動送信のメールを選択し、リマインダーメールのコンテンツを入力しましょう。続いて、ワークフローに配信スケジュールと作成したメールを設定します。
  • 参加者と欠席者へのフォローアップ
    ウェビナー参加者と欠席者のスマートリストを作成します。参加者には参加のお礼とともにウェビナー動画や資料にアクセスできるURLを送付してフォローアップを行いましょう。また、欠席者にも同様に、動画や資料へアクセスできるURLや関連情報を送付すると良いでしょう。

フォローアップによる継続的なコミュニケーションにより、良好な関係構築が可能となります。なお、Marketing Hubを活用すれば動画の視聴者と未視聴者とをセグメントできます。見込み客の状況把握がより正確に行えるので精度の高いアプローチを実施できるでしょう。

  • 離脱見込み客への再案内と再エンゲージメント
    ウェビナーの申し込みフォームを表示したものの、入力せずに離脱した見込み客のスマートリスト作成も可能です。ウェビナーコンテンツの価値を改めて伝えるため、再案内のメールを送信し、再度関心喚起を図りましょう。

より詳しく知りたい方は、ぜひこちらの資料よりご確認ください。

マーケティングオートメーション基礎ガイド ダウンロードする→

 

無料トライアル申し込み後のフォローアップ

SaaS(ソフトウェアサービス)製品の無料トライアル申込者に対しては、トライアル開始後の経過日数に応じてステップメールを配信するシナリオが有効です。

例えば、申し込み直後にトライアル開始の案内とお礼を送り、3日後に活用事例の紹介、1週間後に本申込のメリットなどを送ることで購買意欲を高められます。

MAツールを使用すれば、各ステップの開封率やクリック率などの反応を確認できます。また、配信途中で、見込み客の属性に応じてシナリオを分岐させ、アプローチを変えることも可能です

無料トライアル終了後、本申込に至らなかった見込み客に対してはアウトバウンドコールを行い、なぜ本申込に至らなかったのかなどの課題をヒアリングしてフォローアップへつなげると良いでしょう。
 

展示会参加後の製品導入につなげるシナリオ

展示会に参加した見込み客へは名刺交換を行い、スピーディなフォローアップを行うことで製品導入の可能性を向上できます。見込み度合いに応じたシナリオを設計しておきましょう。

まず、名刺を交換した相手の情報をMAツールに登録し、後日フォローアップメールを送信します。このとき、見込み度合いの高さによってセグメント分けを行っておきます。

見込み度合いの低い見込み客に対しては、テンプレート化されたシナリオメールを送信しましょう。メールには、展示会への参加のお礼と製品の詳細説明を記載して、再度興味を引きます。

一方で、製品に強い興味を示した見込み客には、営業担当者が電話で直接コンタクトを取ります。見込み度合いで対応を分けて効率的にフォローアップを行いましょう。
 

BtoCの場合

来店につなげるためのシナリオ

モバイルアプリを配信している小売企業においては、プッシュ通知とクーポン配信を組み合わせて来店促進のためのシナリオを展開することが可能です。

事前にモバイルアプリとMAツールを連携させて、ユーザーの位置情報がMAツールに届くよう設定しておきます。そのうえで、ユーザーが店舗から特定の距離に近づいたときに、プッシュ通知でクーポンを自動配信するシナリオを作成しましょう。

このシナリオはシンプルなため、情報過多になりすぎないよう注意が必要です。例えば、「配信当日限定」のようにクーポンの内容に制限をかけて、来店を促せるようにプレミア感を演出しましょう。見込み客の状況やニーズを考慮してカスタマージャーニーを練り上げ、効果的なシナリオを作成しましょう。
 

カート放棄者へのリマーケティングシナリオ

Webショップで商品をカートに入れたものの購入を完了しなかった見込み客に対して、一定期間経過後にリマインドのメールを送るシナリオを展開すれば、購買促進が期待できます。

リマインドメールには、カート内に残された未購入アイテムの案内や割引クーポンなどの限定オファーを記載します。購入に関するよくある質問と回答などを記載して不安を解消し、購入のハードルを下げるのも有効です。

なお、リマインドメールはなるべく早いタイミングでの送付をおすすめします。見込み客のなかには購入意欲が減退したからではなく、商品をカートに入れて検討している人や購入意欲は持っていても購入完了に至っていない人が少なくないからです。例えば、カート放棄から3時間後、1日後、1週間後と複数回メールを送信し、フォローアップを行いましょう。
 

マーケティングオートメーションのシナリオ設計で失敗しないポイント

マーケティングオートメーションのシナリオ設計を成功させるには、次のポイントを意識しましょう。

  • 顧客データを収集してペルソナを設計
  • カスタマージャーニーの精度を高める
  • データから仮説を立てて行う
  • 効果的なコンテンツを把握する
  • PDCAを回しブラッシュアップする
     

顧客データを収集してペルソナを設計

マーケティングオートメーションのシナリオ設計において、ペルソナの作成は不可欠な要素です。

収集した顧客データをもとにペルソナを構築することで、リアルな顧客像を描き出せます。とくに名前や性別、メールアドレス、購買データなど、顧客データの詳細な充実が、効果的なシナリオ設計のカギとなります。資料請求やサイト登録、展示会での名刺交換などを通じて、顧客データを収集しましょう。

会員登録後や購入後のアンケートなども、見込み客の関心や嗜好などの情報を取得できる有効な施策の一環です。

 

カスタマージャーニーの精度を高める

シナリオ設計の基盤となるカスタマージャーニーの精度を高めることも重要です。カスタマージャーニーは、見込み客が商品購入に至るまでの思考や行動変化を時間軸やプロセスに分けて可視化したものです。

カスタマージャーニーの精度が低いとシナリオの一貫性がなくなり、効果的なアプローチが難しくなります。シナリオの精度を高めるためにも、見込み客の行動を具体的に分析してカスタマージャーニーに反映させましょう

 

データから仮説立てを行う

シナリオの効果を評価するには、データを基にした仮説立てが有効です。仮説を立てることで、仮説と実際の効果のギャップが明らかになり、改善の方針を検討できます。

また、予想ではなく事実ベースのデータから仮説を立てることも重要です。「このページにフォーム設置したら問い合わせは増えるのでは?」といった単なる予想ではなく、過去の問い合わせ履歴や営業へのヒアリングなど、実際のデータに基づいた仮説を立てましょう。客観的な裏づけがあれば、シナリオの効果を客観的に評価することが可能です。

データの裏づけを取り入れた仮説により検証を行うことで、シナリオの評価と改善のステップをより効果的に進めることができるでしょう。
 

効果的なコンテンツを把握する

自社のコンテンツのなかから、優れた成果をもたらしているコンテンツを特定し把握するのも大切です。優れた成果をもたらしているコンテンツとは、見込み客の感情に寄り添い信頼を築きつつ、自社のサービスや製品への購買を促すコンテンツのことです。

例えば、事例紹介ページに設けたフォームから購入し、その後も継続的に商品やサービスを購入する場合などが該当します。見込み客の行動を分析し、効果的なコンテンツを特定して積極的にシナリオに盛り込みましょう。
 

PDCAを回しブラッシュアップする

マーケティングオートメーションのシナリオは設計して終わりではなく、定期的に分析や見直しを行ってPDCAサイクルを回すことが重要です。運用の結果を基に改善を加えることで、より効果的なシナリオを構築できます。

見込み客情報の収集によってターゲットセグメントが変わった場合は、ターゲット設計を適宜見直すことも大切です。週次や月次などの頻度で分析と改善を行い、シナリオの精度を高めましょう。継続的な努力によって、シナリオは最適な状態に近づきます。
 

マーケティングオートメーションの成果を最大化させたいならシナリオ設計を重視しよう

マーケティングオートメーションにおいてシナリオ設計をすることで見込み客に対して適切なタイミングと内容でアプローチでき、時間とコストを節約しつつ、見込み客の離脱も防止できます。

適切なタイミングと内容のフォローアップは、ユーザーにとっても有意義であり顧客体験向上にも寄与します。

シナリオの構築は最初は難しく手間がかかることもありますが、ブラッシュアップを重ねることで精度が向上します。見込み客との関係性をより良いものにするためにも、継続的に改善を繰り返して、効果的なシナリオを確立していきましょう。

 

MAとコンテンツを活用したリードナーチャリングガイド

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Marketing Hubは、HubSpotのCRMに集約された顧客情報を結び付ける統合型のマーケティング オートメーション ソフトウェアです。有益なコンテンツを提供して自社に興味を持ってもらい見込み客と接点を構築。さらに、マーケティング業務を自動化し、最適な方法とタイミングで見込み客や顧客にアプローチしましょう。 

 

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