顧客の興味関心や情報チャネルが多様化している現在において、顧客ごとに最適なマーケティング施策を実行する重要性はますます高まっています。マーケティング活動に役立つマーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)への需要も高く、多くのベンダーが提供しています。
ただし、MAツールは機能や特徴がさまざまに異なるため、自社に最適なツールを選ぶには、導入目的を明確にし、機能や費用を比較検討しなければなりません。
本記事では、MAツールの概要やメリット、選定ポイントに加えて代表的なツールを19個ご紹介します。MAツールの導入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
MAツールとは、見込み客の創出から価値提供までの一連の流れを効果的に行えるマーケティングツールです。搭載される機能は、見込み客・顧客の管理やアクセスログ解析、スコアリング、メール自動配信、データ分析など多岐にわたります。
MAツールをマーケティングに導入する主なメリットは、次の3点です。
MAツールは、顧客ごとに最適な体験を提供するためのマーケティング活動に有効です。最適化されたアプローチにより顧客と良好な関係を構築できれば、自社の商品・サービスの導入や継続利用へとつながるでしょう。
MAの概要や活用のコツはこちらの記事で解説しているので、ご参考ください。
MAツールを比較・選定する際に重要となる、次の9つのポイントをご紹介します。
MAツール選定の際によくある失敗は、チェックリストを使って機能の有無を〇、×などで評価し、〇が多いツールを選んでしまうパターンです。
インバウンドマーケティングのどこに問題があるのか?といった課題があいまいなままでは、必要な機能は洗い出せません。まずは目指したいゴールを明確にして、課題解決に必要な機能を備えるツールを検討しましょう。
見込み客との関係性において解決したい課題がどこにあるかにより、必要な機能は変わってきます。
見込み客を数多く集めたい場合は、リードジェネレーション機能が充実しているツールを選んで、潜在顧客との接点を増やすのが有効です。また、見込み客のリストが多くても、効果的にアプローチできていない場合は、リードナーチャリング機能を使って見込み客の興味や関心の段階にあわせてコンテンツを発信すると購買意欲を高められます。
すべての機能が揃っているのが理想ですが、その分、高価格になるうえ、機能を持て余してしまう恐れがあります。まずは、見込み客とどんな関係性を築きたいのかをイメージして機能を選びましょう。
マーケティングオートメーションは顧客情報を起点にしているため、社内システムやデータベースとの連携機能があると便利です。連携できるデータが増えれば、実現できる施策が増えます。
サイト上の行動データ、店舗への来店頻度、購買・問い合わせ履歴など、資源となる社内データを確認して、マッチするMAツールを選びましょう。
MAツールの導入にあたり、初期費用や月額費用など各種コストとの費用対効果も検討しましょう。
高機能なMAツールは費用が高くなる傾向にあります。成果が出るまでには年単位での運用が必要になるケースも少なくありません。
ツールを導入する際は、コスト以上のリターンを得られるのかを比較検討したうえで決定するのが重要です。多機能なMAツールは担当者が使いこなせない可能性もあるため、試用版を体験したりエントリープランからスモールスタートさせたりするのも良いでしょう。
マーケティングでは、SNS、スマホアプリ、LINE、広告、DMなど、コミュニケーションチャネルが多岐に渡るケースもあります。
さまざまなチャネルのなかで、MAツールと連携したいものがあるかどうか押さえておきましょう。使用したいチャネルがある場合は、ツール会社に連携できるかどうか事前に確認しておく必要があります。
自社と似た課題を有する企業の導入実績を確認するのも大切です。導入事例を参考にすると、導入後の効果をイメージしやすくなるからです。
また、MAツールが得意とする業種も確認しておきましょう。自社と似た業種での導入実績が豊富であれば、同じような効果を得られる可能性が高まります。
設定やエラーに際して、ツール会社がどこまでサポートしているのかも選定ポイントとなります。
これらのポイントを中心に比較してください。
また、海外製のMAツールを利用する際は、日本語に対応しているかも確認しましょう。
BtoB事業は商品が高額で購入までに時間がかかる場合が多いため、リードナーチャリングを重視した施策が増えがちです。タイムリーに、かつ最適なコンテンツを提供するために、スコアリングなどセグメンテーション機能が充実したツールがふさわしいでしょう。
BtoC事業は多数の見込み客と複数のチャネルでコミュニケーションをとる場合が多いため、多チャネルでさまざまなアプローチを行える拡張性の高さが求められます。
自社の事業タイプにあわせて、ツールがBtoB向けか、BtoCかを見極めることも重要なポイントです。
クラウド型のMAツールでは、自社の顧客データをクラウド上で管理します。預かった個人情報が外部に漏れるようなトラブルがあっては、顧客からの信頼を失うことにつながるでしょう。そのため、MAツールを選ぶ際は、ベンダーが実施しているセキュリティ対策を確認する必要があります。
第三者による情報セキュリティ監査や認証を受けているかを選択基準準とするのも良いでしょう。
ここからは、代表的なMAツールを19個ご紹介します。
主な機能や提供形態、価格、サポート体制など、各ツールの特長比較にご活用ください。
HubSpotのMAツールは、HubSpot CRM(無料)での顧客情報の一元管理が前提となるため、部署間の連携やデータ統合をスムーズに行えます。保有する顧客情報を統合することで、その統合された情報をもとにマーケティングオートメーションを実施すると、顧客に対してより良い体験を提供しやすくなり、良好な関係構築を実現できます。結果、自社にも顧客にも利益が生まれる状態につながるでしょう。コンテンツを軸としたリードジェネレーションやリードナーチャリングを行いたい企業におすすめです。
また、無料で利用可能な機能が豊富なツールが利用できるうえ、有料プランも月額数千円単位から利用できるので、スモールスタートから始めたい企業にも適しています。
CRM、MAだけでなく、CMSや営業部門向けのSFA、カスタマーサポート部門向けのツールも用意されています。各機能を組み合わせると、より上質な顧客体験を提供できるでしょう。
ハイテクノロジー、金融サービス、製造業など幅広い業界で活用されているSalesforceのMAツールです。同社のSFAを導入する企業にとって「親和性の高さ」が魅力になるでしょう。
Salesforceでは顧客からの信頼を第一に考え、ユーザー認証やプラットフォームの暗号化などのセキュリティ機能を標準搭載し、顧客データを厳重に管理しています。また、クラウドベースの製品・サービスのセキュリティ評価基準のFedRAMP(米国連邦政府のリスク・認証管理プログラム)が定める要件を満たしている点も特長です。
大企業からスタートアップ企業を中心にあらゆる業種で5,000社が導入している、AdobeのMAツールです。クロスチャネルを通じた高度にパーソナライズ化されたプッシュ通知やチャネル配信が可能で、BtoB、BtoC両方に強いのが特長です。
Adobe Experience Cloudの各種ツールと組み合わせると、顧客のニーズを細かく汲み取れるので、顧客ごとに最適化した施策を実行できます。販売パートナーや参加コミュニティが多く、きめ細かなサポートが期待できるでしょう。
SHANONは、BtoB、BtoC問わず、通信・金融・建築業など幅広い業種で導入されているMAツールです。もとはセミナーの運用管理サービスとしてスタートした背景があり、展示会やセミナーなどイベントマーケティングに強いのが特長です。SFA、SRM、BIなどのツールとのAPI連携にも対応しています。
SHANONではオフラインとオンラインの情報を統合し、オフラインイベント参加者のWebページ閲覧履歴や滞在時間、メール開封履歴などの顧客情報を把握することも可能です。
セキュリティ面では、24時間365日監視、不正アクセス対策などユーザーが安心して利用できる施策がとられています。ISO 27001やプライバシーマークを取得し、外部機関から認められた高いセキュリティを誇ります。
KARTEはWebサイトのアクセスログから顧客の反応や動向を把握し、顧客一人ひとりに最適な顧客体験を提供できるMAツールです。金融・保険、人材、EC、旅行、不動産など幅広い企業での導入実績があります。
ユーザビリティの高いWebサイトをノーコードを活用して直感的に作成できるので操作性が高く、プッシュ通知や広告配信などのパーソナライズ化も可能です。
情報漏洩、毀損、毀滅などのリスクから顧客の情報を守れるよう、クラウドセキュリティ認証ISO27017を取得しています。
List Finderはフリープランが充実した国産MAツールです。ライトプランなら月額3万円台から利用できるので、スモールスタートをしたい企業に向いています。
メール配信やセミナー管理、アクセス解析などの基本機能を搭載し、Salesforceとの連携も可能です。セキュリティ面では、IPマーク、ISMSクラウドセキュリティ認証を取得しています。
さまざまな業種で合計1,200社以上に導入されているferret Oneは、見込み客の創出から営業DX(SFA)との連携、サイト構築やマーケティング施策運用の環境改善など幅広く対応できるMAツールです。BtoBマーケティングに関する体系化されたノウハウと、直感的な操作が可能なツール、AIアシスタント機能の組み合わせでマーケティング課題を解決に導きます。
内部監査やパッチマネジメント、脆弱性診断を定期的に行う他、ファイアウォールの設置やDoS攻撃対策など網羅的なセキュリティ対策も実施しています。
SATORIは導入実績が1,500以上にのぼる国産ツールです。Webサイトに計測タグを埋め込むことですぐに運用できるため、MAツールの運用経験が少ない初心者でも容易に操作できます。メールアドレスがわかっている実名の見込み客に加え、サイトを閲覧したもののアクションを起こしていない匿名の見込み客も管理できるのが特長です。
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を取得し、安全な運用がなされています。ログインユーザーの限定や二段階認証の設定も可能です。
GENIEE MAは、直感的に操作できるインターフェース「シナリオキャンバス」を搭載し、初心者でも安心して使える国産ツールです。メールやWebプッシュ通知、SMSなど多様なチャネルから顧客に最適な方法でアプローチを行えます。スコアリングと自動メール通知を組み合わせることで、見込み客に最適なタイミングで営業活動に反映できるため、成約率向上も期待できるでしょう。
15日間の無料試用もあるので、導入前に担当者が操作できるか、自社の運用目的を達成できるかを確認できます。
b→dashは、BtoC企業を中心に、金融、メディア、スクールなど600社以上の幅広い業種業界で導入実績があるMAツールです。
さまざまなシステムと自動連携できる他、データ連携から抽出までの基盤構築作業をノーコードで行える「DataPalette」を搭載しています。メールやLINE、SMSなど多様なチャネルによるアプローチが可能で各種テンプレートも揃っているため、初心者でも使いやすいのが特長です。
Kairos3は操作性に優れており、必要な機能を直感的に利用できるMAツールです。見込み客の行動を可視化できるので、どのようなアプローチが効果的かを把握できます。ZoomやSalesforce、kintoneなど外部ツールとも連携でき、より多様なマーケティング施策が実現可能です。
セキュリティ面では、SSL化やHTTPS通信を用いた暗号化により顧客の情報を厳重に管理し、情報マネジメントシステムISMS「ISO 27001」を取得しています。
購入履歴、アクション、アンケート結果などあらゆるデータを一人の顧客に統合するCDPから進化したMAツールです。年間400件以上のアップデートを実施し、最新のマーケティングトレンドを取り入れています。
顧客により良い体験を提供するためのデータ・数値分析を行えるのが特長です。多くの機能をノーコードで利用できるので、初心者でも顧客分析をすぐに始められます。
各種ECツールやLINE、アクセス解析ツールなど多くのチャネルと連携可能で、見込み客に幅広くアプローチできるでしょう。
Linyは、日本で最もユーザー数の多いSNSであるLINEの公式アカウントの運用・配信・管理ができるMAツールです。30を超える都道府県市町村の他、LINEをビジネスで活用する3,500社に導入実績があります。
セキュリティ面では、IPアドレス制限や二段階認証などの対策を実施しています。また、安定した配信環境を提供できるようAWSを利用している点も特長です。
MOTENASUは、複雑なSQLなどの専門知識は不要で容易にシナリオ設定できるMAツールです。デジタル上のオンライン・マーケティングと、紙面を中心とするオフライン・マーケティングを組み合わせ、顧客のニーズにマッチした情報を最適な方法で届けられます。
メール、SMS、LINEなど複数のチャネルで配信できるためCVに近く、自社商品・サービスに興味のあるユーザーに積極的にアプローチできる点も特長です。
配配メールBridgeは、クリックや開封などメールへの反応から、興味・関心の高い見込み客に対して積極的なアプローチができるMAツールです。メールを活用したマーケティング施策に特化しており、メール経由でWebサイトを訪問した顧客へ自動でメールを送信することも可能です。
サイボウズ社のクラウドサービス「kintone」と連携でき、より効果的にメールを配信できます。ソフトウェアのダウンロードやインストール不要で利用できる無料トライアルもあるので、導入前に本番環境を試したい方におすすめです。
Probanceは、機械学習によって顧客ニーズを特定、興味・行動を予測し、最適なタイミングで必要な情報を届けることができるBtoC向けのMAツールです。流通・小売、金融、ECサイトなどさまざまな業種業界での導入実績があります。
多様な外部システムと連携可能なデータビジネスプラットフォーム「Rtoaster」と連携させれば、パーソナライズ化された情報をメールやLINEなどで発信できるようになります。見込み客の発掘やリピーターの創出、優良顧客との関係構築を図りたい企業には有効なMAツールとなるでしょう。
BowNowは、導入実績13,000社以上を誇るMAツールです。ノウハウがテンプレート化されていて設計もシンプルなため、初めてMAツールを利用される方も容易に導入可能です。MAの基本機能は無料で利用できます。目的や用途に応じて有料プランへ移行したり有料オプションを追加したりできるので、徐々に活用の幅を広げる使い方をしたい企業におすすめです。
操作方法や成果を最大限導き出すための勉強会やサポートコンテンツも充実しているため、「導入してみたものの効果が見込めない」という状況を防げるでしょう。
Dr.Marketingは、BtoB大手企業の新規開拓営業に特化したMAツールです。操作性に優れているため、専門的な知識がなくてもフォームやLPを作成できます。また、見込み顧客のWebアクセス状況をトラッキングすることで、状況に応じたアプローチも行える点も特長です。
プライバシーマークに準拠したセキュリティ対策を実施しており、アクセス制限や閲覧度ダウンロード制限、認証機能などが実装されています。30日間無料で利用できるデモ環境もあるため、運用環境を確認後に導入したい方におすすめです。
aimstarは、国内販売やECなどBtoC企業を中心とした導入実績が豊富な国産MAツールです。デジタルマーケティングに必要な業務ノウハウがテンプレート化されているため、属人性を排除した顧客管理を実施できます。データ統合や分析をノーコードで行える点も特長です。
また、メールやLINE、各種アプリなど外部システムとの連携が可能で、幅広いチャネルを活用して顧客にアプローチできます。
MAツールを適切に活用して顧客体験を向上できれば良好な関係構築につながります。結果的に、自社にもたらされる利益も増えることでしょう。
MAツールはさまざまなベンダーからリリースされており、機能や価格、サポート体制に違いがあるので、本記事を参考に導入するものをお選びください。
また、導入を有意義なものにするために、まずはスモールスタートから始めることをおすすめします。なかでも、オールインワンツールの「HubSpot」は必要な機能が十分に備わっており、大企業だけでなく中小企業、スタートアップまで、企業規模を問わず向いているといえるでしょう。無料トライアルもありますので、ぜひ一度お試しください。
Marketing Hubは、HubSpotのCRMに集約された顧客情報を結び付ける統合型のマーケティング オートメーション ソフトウェアです。有益なコンテンツを提供して自社に興味を持ってもらい見込み客と接点を構築。さらに、マーケティング業務を自動化し、最適な方法とタイミングで見込み客や顧客にアプローチしましょう。
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