対話型マーケティング
対話型マーケティング

2020年版対話型マーケティング戦略

HubSpotのMarwa Greavesがウェブチャットやボット、対話型マーケティングの複雑な世界についてご説明します。

Marwa Greaves

グローバルメッセージング担当ディレクター

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ボットと対話できるウェブサイトを、皆さんは利用者としてどれくらい訪問していますか?

おそらくかなり多いのではないでしょうか。HubSpotのマーケティング最新動向レポートによると、45%以上の企業がマーケティング活動の一環としてボットを導入しています。

現在、自社ウェブサイトでボットを使用していますか?

現在、企業とのコミュニケーション方法の選択権は、消費者の側にあります。新たに登場したウェブチャットやボットなどのチャネルは、消費者が都合のよい時間に利用して、必要なサポートや回答を得ることができます。電話やEメールを使ったり、フォームに入力して送信したりしなくても、消費者は好みのコミュニケーションチャネルで企業と関わることができます。

対話型マーケティングは比較的新しい手法であり、企業や顧客にとってどのような意味を持つかについては、だれもがまだ試行錯誤しているところです。使い方が定義され確立されていないため、白黒つけられる段階にはありません。

そこで、今後の戦略を実施する際の指針となるよう、いくつかのポイントを以下にご紹介します。

  1. まだ正式な実験プロセスが定まっていなければ、そちらの準備から始めてください。ボットを使って解決するべき具体的な問題や、成否の判定に使用する主な測定指標を判断する指針となります。
  2. ボットのあらゆる面について何度も実験しましょう。顧客やプロスペクトに快適な体験を提供するのはどのような要素なのかについて理解を深めることができます。
  3. ウェブチャットやチャットボットとのやり取りをパーソナライズしましょう。ウェブサイトの各ページと、各ページの目的に応じて変化させます。

以降は、上記3つのポイントを中心に掘り下げていきますので、これからの対話型マーケティング戦略の成果の最大化にお役立てください。ウェブチャットやチャットボットを導入済みの皆さんは今後も継続するべき取り組みは何かを確認しましょう。

ウェブチャットとチャットボットの実験を継続する

ボットの配置や、ウェルカムメッセージ、使い勝手などについて、引き続き十分な実験を続けてください。実験を始めるにあたっては、まず購入に直結するウェブページ(料金表ページなど)やトラフィックが最も多いウェブページ(ホームページなど)にボットを導入して、十分な対話数を確保しましょう。これにより、有意な結果に基づき確信を持って広範な展開を決断できます。

企業ウェブサイトだけでなく、Facebook MessengerやWhatsAppなど、多くの顧客が利用している各種チャネルで実験を行ってみるとよいでしょう。HubSpotではメッセンジャーアプリWhatsAppで実験を行っています。ここから世界中のオーディエンスにリーチし、1対1で営業チームとやり取りしてもらえるようにしようと考えています。

対話型マーケティングは実世界とデジタルの世界の垣根を取り払い、数多くの人と個別の関係を築き上げることに大きく貢献しています。実店舗からインターネットへの進出を加速させている小売店のマーケティング担当者は、チャットやSMS、さらにはボットを利用することで、対面以外では不可能と思われていた情報提供を実現しています
Sara Varni, Twilio CMO

Sara Varni氏

最高マーケティング責任者(CMO)

HubSpot.comやWhatsAppに配置したボットによるオーディエンスとのコミュニケーション実施を決定したあと、HubSpotのメッセージング担当チームはメッセージングチャネルごとに実験計画を作成しました。この実験計画では、コンバージョン増加またはエンゲージメント促進に重点を置いたさまざまなテストが行われます。ホームページのボットについては、ウェルカムメッセージのテストが開始されています。

ボットのウェルカムメッセージは、企業とチャットしようと誘いかけるEメールの件名のようなものであり、非常に重要な実験の成功指標です。

皆さんの実験計画では、Eメールの件名に関するA/Bテストと同じように、さまざまな言い回しやメッセージを使ってみて、顧客とのやり取り(コンバージョンにつながるエンゲージメント)が質的にも量的にも最高となるメッセージを特定してください。HubSpotでは、ホームページに置いたボットのウェルカムメッセージで実験を行いました。その結果、「How can I help you?(ご用件をどうぞ)」と言うよりも、「Can you tell me what you’re looking for?(何をお探しですか)」と尋ねる方が、ボットとの対話が開始されやすいことがわかりました。

対話型マーケティング戦略では、営業部門やサポート部門などとの連携が非常に重要です。たとえば、新しいリードをその地域の営業担当者に転送し直接チャットできるようにするボットについて、マーケティングチームが実験を検討しているとします。その場合、ウェブサイトで実験を始める前に、コミュニケーションの急増に営業チームが対応できるかどうかを確認しておく必要があります。HubSpotの場合、リードからのメッセージに対応することになる最前線の営業チームのリーダーと緊密に連携し、両チームが協力してチャットの需給を測定できるようにしました。

この連携にあたり必要になるリソースについての考え方をHubSpotの実例を基にご紹介します。

  • Marketing Hubの価格表ページはのビュー数は1日当たり約4,000
  • チャットボットとのやり取りが発生するのはそのうちの1.5%
  • チャットはすべて営業チームに転送される
  • 1日60件のチャットに対応するには営業担当者が3人必要
  • Marketing Hubのホームページのビュー数は1日当たり約4,500
  • チャットボットとのやり取りが発生するのはそのうちの2%
  • そのうち40%はボットで対応できる
  • チャットの50%は営業チームに転送される
  • 1日45件のチャットに対応するには営業担当者が2人必要

パーソナライズ用の時間を確保する

チャットチャネルの基本的な運用に慣れたら、パーソナライズによるチャット体験の向上に取りかかりましょう。

パーソナライズによって、顧客がボットとやり取りしたときに魅力的でプロフェッショナルな印象を与えることができます。このボットに対するイメージは、すなわち自社に対するイメージです。そのためにはページの目的や置かれているプラットフォームに応じて、ボットの機能やメッセージをカスタマイズしてください。

たとえば、WhatsAppでユーザーとやり取りするボットとホームページに設置するボットでは、相手に与えるべき印象や雰囲気は異なります。WhatsAppは基本的に人間と人間の会話なので、私的なやり取りを目指します。それに対し、ホームページでのやり取りは企業と人間の対話にふさわしい内容であるべきです。

ボットのメッセージやトーンや見た目については、ブランディングに沿った一貫性あるものにしてください。たとえば、Eメールニュースレターのリンクをクリックしてページに転送された訪問者には、ページに設置されたボットに最初のEメールの内容に合わせたウェルカムメッセージを表示するべきです。そうすることで、スムーズで納得感を得やすい体験を提供できます。 

次のHubBotの例では、訪問者にセルフサービス形式のリソースを案内しています。 

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最初は1つの問題を確実に解決できるようにする

1つのボットが、何でも知っているAlexaのように振る舞うことはできません。少なくとも、2020年の段階では無理です。

顧客の役に立つボットにするには、1つの具体的なタスクに絞る必要があります。さらに、そのタスクや解決したい問題に対して、ボットが本当に最善のソリューションであるかどうかも、判断しなければなりません。最も適しているのは従来のコミュニケーションチャネルかもしれません。現段階では、一度に複数の問題を解決するボットの開発は諦めた方が賢明です。

この記事でお伝えしたいメッセージを1つに絞るとすれば、「多目的のボット1種類をサイトの全ページに設置するのはやめましょう」ということです。

万能のボットを目指すのではなく、個々のタスク(または非常に関連性の高いタスク群)に対してボットを作成し、それぞれが特定の問題を効果的に解決できるようにしましょう。設置されたサイト上の特定の場所(またはプラットフォーム)で効果を発揮する専門のボットを複数作成することで、ユーザーに与える影響や効果を向上させることができます。

たとえば、料金表ページのボットの対応は、ホームページのボットとは異なるものにするべきです。そのページをどのようなユーザーが訪れ、何をしようとするかを反映させてください。

個々の問題を解決することに特化したボットを作成すれば、品質チェックも簡単になります。それぞれのボットを単独で調整して、何がうまくいき、何がうまくいかないかを確認できるからです。

たとえば、次に示すウェブサイト上の場所では、メッセージをカスタマイズしたボットの効果が確認されています。

  • ホームページ(探している情報を案内する)
  • 価格表ページ(購買意欲の高いトラフィックをコンバージョンに誘導する)
  • 製品ページ(製品の詳細情報をプロスペクトに知らせる)
  • ナレッジセンター(既存顧客をサポートする)
  • その他

今すぐ使えるツール

今後の対話型マーケティング戦略で最大限の効果を上げる方法について、ここまでで多くの情報を紹介してきました。では、それを実現するためのツールを、私が気に入っているものの中からご紹介しましょう。

  • 最初はHubSpotのコミュニケーション機能を使うのがわかりやすいと思います。HubSpotのコミュニケーション機能は効率性と拡張性に優れ、1対1のコミュニケーションをマルチチャネルに展開できます。しかも、すべて無料です。
  • ボットのロジックを図示する作業ではLucidchartがおすすめです。このツールの図とデータの視覚表現を組み合わせることで、ボットの理解が深まります。

対話型マーケティングでさらなる成長を

ウェブチャットやメッセージングやチャットボットは、マーケティングの世界ではまだ新しい手法だと思われつつも、今やすっかり普及しています。さらに2020年には、米国外でも新しい対話型マーケティングプログラムがいくつも立ち上げられると予測しています。このことでHubSpotのビジネスもさらに成長するでしょう。 

さらに多くの企業がさまざまな種類の対話型マーケティングをウェブサイトやソーシャルプラットフォーム、さらにはコンテンツ全体で実施するようになれば、顧客の期待も高まります。きわめて有益で効率のよいボットがますます重要になるはずです。今回の記事でお伝えしたことを念頭に置きながら、ぜひ独自の対話型マーケティング戦略を策定し、スマートな成長を実現してください。下のバナーのダウンロードボタンをクリックすると、HubSpotの調査データを詳しくご覧いただけます。

Marwa Greaves

グローバルメッセージング担当ディレクター

HubSpotのMarwa Greavesがウェブチャットやボット、対話型マーケティングの複雑な世界についてご説明します。重要なのは、同じボットをウェブサイト全体に設置しないことです。

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