競合インテリジェンスプラットフォームを展開するCrayonが、独自のデータとHubSpot Researchの最新データを基に2020年の市場調査のトレンドを明らかにします。
Ellie Mirman
最高マーケティング責任者(CMO)
市場を理解することは非常に重要です。市場のことがわかっていれば、競合他社との差別化を図り、消費者を自社製品に惹きつけることができます。これは新しい概念ではなく、マーケティングの世界ではずっと中心的な考えでした。
市場調査の最も重要な要素の1つは、競合状況の中で自社がどのようなポジションにいるのかを理解することです。近年ますます市場調査の重要性が高まっていますが、その理由には大まかな傾向があります。業界を問わず競争は激しさを増してきています。投資資本の低コスト化、成長を促進するスケーラブルなテクノロジーの普及(HubSpotもその1つです)、強力なマクロ経済情勢により、これまで以上に簡単にビジネスを立ち上げ、市場参入者が既存の企業から短期間で市場シェアを奪えるようになりました。また、Eメールマーケティングのような主要チャネルのマーケティングメッセージの量を増やすことも、かつてないほど容易になっています。
市場参入者が乱立し、無数のマーケティングメッセージが購入者に届けられる今、他社との差別化を図り、自社のポジションを確立する力は何よりも大切です。市場の競合状況を調べることの重要性もここ数年で非常に高まっており、競合情報を的確に収集し分析する「競合インテリジェンス」を多くのマーケティング担当者が日々の業務に取り入れ始めています。
こうした背景を踏まえたうえで、Crayonの調査レポート「State of Competitive Intelligence(競合インテリジェンスの現状)」のデータとHubSpot独自の調査データ(ページ下部からダウンロードできます)を分析してみたところ、以下の傾向が明らかになりました。
Hubspotの調査によると72%の企業が市場調査を実施しており、80%が調査結果を基にビジネスの重要な意思決定を行っています。Crayonの調査でもその傾向は裏付けられており、89%の企業から、競合状況について市場調査を実施することの一定の効果が報告されています。
半数以上の企業が市場調査予算を増額する予定と回答しています。
今後12か月の間に市場調査の予算増額を計画している企業の割合
出典:HubSpot Researchによるグローバル調査(2019年11~12月)
調査に対する投資の効果を最大化する鍵は、その成果を測定することです。競合インテリジェンスの指標を明確に定めている企業は、調査を収益の拡大につなげられる可能性が2倍になります。市場や競合に関する情報分析の成果を測定する指標はいくつかありますが、最も一般的なのは収益と競合勝率です。
Hubspotの調査によると72%の企業が市場調査を行っていますが、2020年の調査実施計画をきちんと立てている企業は22%にとどまりました。多くの企業が依然として、その場限りの市場調査を実施している状況がうかがえます。定期的に競合状況を調査し、競争力の獲得に必要な材料を見直している企業は、収益を拡大できる可能性が2倍になります。定点観測ということを意識せず市場調査を行っている多くの企業が、重要な収益機会を見逃しているのです。
マーケティング担当者が継続すべき有益な取り組みの1つは、ビジネス上の意思決定を行う際に市場や競合に関するインサイトを活用することです。HubSpotの調査では、約80%の企業が市場調査から得た知見を活用してビジネス意思決定の精度を高めています。
Crayonの調査でも、ビジネス戦略の策定において市場や競合に関するインサイトが頻繁に活用されている傾向が見られます。また、このように十分な情報に基づいた意思決定が、大きな成果につながっていることもわかっています。具体的には調査対象のマーケティング担当者と競合インテリジェンス担当者1,000人のうち89%が、競合に関する調査結果がビジネスに一定のプラスの効果があったと回答しています。
市場を調査しても、発見した情報がどこにも活かされないなら価値のある活動とは言えません。経営陣が市場のどこにチャンスがあるかを的確に理解し、それに応じて長期的な戦略を策定できれば、競合に関するインサイトを戦略レベルで活用できます。また、競合案件の際に営業担当者が活用するバトルカードのように、市場や競合に関するインサイトを戦略支援の資料としてパッケージ化することもできます。
さらに、あらゆる段階のインプットとアウトプットを測定することで、競合に関する市場調査の効果をさらに高めることができます。
マーケティング担当者の多くが、ありとあらゆることを指標化したり、仕事の成果を測定したりすることに面白味を感じていると思います。しかし残念なことに、このような関心を競合調査に向けている方はほとんどいません。Crayonの調査では、競合インテリジェンス戦略の策定に際して何らかのKPIを設定しているマーケティング担当者は44%にすぎないことがわかりました。競合に関するKPIを定めていれば、競合インテリジェンスの取り組みを収益拡大につなげられる可能性が2倍になることは前述しました。つまり、ここに大きな機会損失が生まれています。
まず手始めに、営業チームの競合勝率(および情報分析から得られた競合の動向)、顧客維持率やNPS®スコア、作成した有効な資料の活用状況など、いくつかのシンプルな指標を測定することをおすすめします。最適なKPIはビジネスの内容によって変わりますが、主なビジネス目標と密接に関わる指標が鍵となるという点は常に意識してください。(注:ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。)
マーケティング担当者をいつも悩ませているのは、市場の変化の速さです。新しい競合他社、新しいマーケティングチャネル、購買ニーズの変化はあっという間に生まれ、そして消えていきます。マーケティング業界には変化がつきものですが、今ほどそれが激しい時代はありません。前述したとおり、Hubspotの調査によると、72%の企業が市場調査を実施しているものの、直近の実施計画を立てている企業は22%にすぎません。多くの企業がいまだに、その場限りの一貫性のない市場調査を行っている状況がうかがえます。
このような間違った戦略は、今こそストップするべきです。
Crayonの調査では、市場や競合に関する調査および結果分析を定期的かつ高頻度で実施することで、調査の効果をビジネスレベルで底上げできることがわかっています。競合調査資料を場当たり的に更新しているマーケティング担当者のうち、この取り組みに収益改善効果があると回答したのはわずか29%でした。一方、このような資料を毎週更新しているマーケティング担当者の68%は、この取り組みが収益によい影響を与えていると回答しています。
競合調査資料を毎週更新することが収益にプラスの効果をもたらすと回答したマーケティング担当者の割合
出典:Crayonによる調査レポート「State of Competitive Intelligence(競合インテリジェンスの現状)」
Crayonでは、データをベンチマークとして戦略策定に活用することが重要であると考えています。1,000人以上の競合インテリジェンス担当者を対象とした調査データの詳細については、「2020 State of Competitive Intelligence(競合インテリジェンスの現状2020年版:英語)」をご覧ください。
市場調査や競合調査の手法は、マーケティング業界でも特に急速に進化しているテーマの1つです。それに適応するには、各自の業界を積極的に理解し、自社のポジションを把握して、マーケティング、営業、経営陣の目標達成につながるような調査結果を得ることを目指しましょう。
市場調査と競合インテリジェンスの最新状況に影響を与えている主なトレンドの詳細については、HubSpotによる最新レポートでご覧いただけます。下のバナーよりダウンロードしてください。
競合インテリジェンスプラットフォームを展開するCrayonが、独自のデータとHubSpotのマーケティング最新動向レポートを基に2020年の市場調査のトレンドを明らかにします。
Cynthia Price
マーケティング担当バイスプレジデント
Josh Chang
顧客獲得アナリティクス担当マネージャー
Bridget Zingale
アナリティクス担当ディレクター