Crystal Kingがソーシャルメディアの最新のトレンド予測について、データを交えて詳しく解説します。
Crystal King
インバウンド担当主任講師
2019年のソーシャルメディアトレンドにおける最大の変化は、何と言ってもコンテンツのパーソナライズが不可欠になったことでしょう。また、多くのブランドが今まで以上にオーディエンスの声に熱心に耳を傾けるようになったことも大きな変化です。世界中でデータ規制が強化されていること、コンテンツに期待されるレベルが高まっていることを考えると、この2つの傾向は今後ますます強まっていくと予想されます。不特定多数を対象にしたソーシャルメディアの「たれ流し」には、もはやだれも付き合ってくれません。
また、ソーシャル メディアのチャネルの種類はかつてないほど増えているものの、ROI(投資収益率)の面では依然として3大プラットフォームがリードしています。HubSpot Researchの最新調査では、「最も高いROIを達成したのはFacebookだ」と多くのマーケティング担当者が回答しています。
ここからは、ソーシャルリスニングを強化すべき理由、獲得したオーディエンスのプライベートグループに投資するメリット、ソーシャルメディアを万人向けのチャネルとして使ってはならない理由の3点について解説します。ソーシャルメディア戦略の最適化にお役立ていただければ幸いです。
ソーシャルメディア戦略において、現在何が重要となってきているのでしょうか。最新のHubSpot Researchのアンケート結果を見ると、マーケティング担当者がソーシャルメディア戦略で最も重視しているのは「ソーシャルリスニング」であることがわかります。同様のトレンドは、HubSpot自身も認識しています。
コンテンツ作成前に、オーディエンスの声に耳を傾けることで、相手の心に響く内容を把握できるのです。
動画コンテンツを例に考えてみましょう。ユーザーにメッセージを伝えたい場、必ずしもプロがカメラ機材で撮影した高品質な作品である必要はありません。スマートフォンで撮影されたものでも、非常に優れた動画は多数あります。私がHubSpotで昇格したとき、尊敬する同僚がTwitterでお祝いの言葉をくれたのですが、文字だけのツイートではなく短い動画がフィードで再生され、とても感動したことを今でも覚えています。動画を活用すれば、このようにメッセージ性の強いコンテンツを簡単に作成できます。ぜひ積極的に試してみてください。
ブランド独自のコンテンツ公開を開始し、ユーザーとつながることができたらを築いたら、次はユーザーが作成したコンテンツを活用しましょう。ユーザーが作成したコンテンツ(UGC)を正しく活用するためのKPI設定特定、コンテンツ作成、効果検証、コンテンツの改善を繰り返してください。
UGCは、自社ブランドとの関連性が高いコンテンツなのはもちろん、他ユーザーに新たな観点でブランドを見るきっかけを提供してくれる存在です。また、UGCがSNSなどで拡散された際、さらに大きな流れを作るために、他ユーザーにも情報をシェアしてもらえるよう積極的に働きかけます。他社のブランドに関する投稿を見ることで、ブランドへの親近感はさらに高まります。ただし、ユーザーのコンテンツを再共有する場合には必ず使用許可を取り、必要に応じて著作表示を加えることを忘れないでください。
総合的に見て、自社のユーザーが有力なコンテンツ供給元であることは間違いありません。後ほど詳しく述べますが、HubSpotでもユーザーコミュニティーを構築し、大きな成果につなげてきました。HubSpot Researchによれば、80%のブランドが、コミュニティー構築の取り組みがトラフィック増加をもたらしたと答えています。また、フォロワー数が少なくとも、自社との親和性が高く、信頼できるインフルエンサーを見つけてブランドのプロモーションに協力してもらえば、熱心なオーディエンスを増やすことができます。TalkwalkerとHubSpotが共同で作成したレポート(英語)によると、インフルエンサーマーケティングが話題に上る機会は前年比で42%も減少した一方、インフルエンサーのフェイクに関する言及は増加しています。これを受け、同レポートでは次のように予測しています。「インフルエンサーキャンペーンの運営方法は大転換を迎えると考えられます。潜在的なリスクを軽減して熱心なファンを獲得するには、マイクロ規模またはナノ規模(フォロワー数が500~10,000人の)インフルエンサーとの連携が有効になるでしょう」。
黎明期のインターネットは、特定のトピックについて話し合う人々による、いくつものオンラインコミュニティーで棲み分けられるのが普通でした。しかし、ある時から点変化が起こり、コミュニティーの存在感は薄れます。ただ、私は、こうしたつながりを今でも人は切望しているように思いますし、企業は重視するべきだと考えています。実はコミュニティーこそが、ビジネス成功の鍵なのです。
Facebookグループを使用している北米のマーケティング担当者の数
HubSpot Research、北米での調査、2020年1~2月
ファン同士でグループを作成し、つながりができれば、今自分が話したい相手を簡単に見つけられるようになります。熱心なファンが集まる専用コミュニティーを構築すれば、長期的なエンゲージメントの向上につながるでしょう。グループによって安心感と対話が生まれるだけでなく、有意義なユーザー調査も可能になります。
HubSpotアカデミーでも、コンテンツマーケティングについて詳しく学びたいというユーザーの声に応え、Corey BraccialiniとJen StefancikがプライベートFacebookグループを作成しています。グループを立ち上げてから4か月で、参加者は5,346人にまで増えました。
Coreyはグループの立ち上げを振り返り、次のように語っています。「グループを作った当初は、本当にニーズがあるのか確信を持てませんでした。しかし、参加者が着実に増えエンゲージメント率も高まっていることで、同じ志を持つ多くの人々がつながりを求めていること、そのための場所としてこのコミュニティーが信頼を獲得していることが証明されました。グループを作成することは、特に熱心なファンを見分けることにもなります。程度の差はあっても、グループの参加者はHubSpotの支持者あるいは推奨者だと考えて良いでしょう」
有益なグループを構築するには、メンバーと積極的に接点を持ち、信頼関係を築くことが大切です。また、構築するだけでなく育てていくことも重要です。
ソーシャル メディア マーケティングで肝心なのは、コミュニティーを形成し、信頼関係を築くことです。ソーシャルメディアはもはや、万人向けのブランドメッセージを配信するためだけのチャネルではありません。ひと昔前のような、一方的なメッセージを発信しないよう心がけましょう。たとえばHubSpotのソーシャルチームでは、Instagramストーリーのクイズ機能を使用してコミュニケーションを取りながら、ユーザーのHubSpotに対する理解を深めています。
またオーディエンスの心をつかめるかどうかは、コピーに大きく左右されます。コピーライティングをおろそかにしてはなりません。ソーシャルメディアを活用するマーケティング担当者は、クリエイティブな画像や動画を重視する一方で、魅力的なコピー文の作成を怠りがちです。私はこれまでに、きちんと見直しさえすれば簡単に防げたはずの大きなミスを何度も目にしてきました。重要なのは誤字や脱字のチェックだけではありません。適切なコンテンツ作成のスキルを持ち、トーンと言葉遣いを適切に使い分けることができ、そして「空気を読める」メンバーを、チームに必ず加えておきましょう。巧妙なコピーライティングはブランドイメージを高めます。
では、一方通行のメッセージにしないためには何をすれば良いのでしょうか? コメントへの返信やダイレクトメッセージ、コンテンツのシェアを通じてフォロワーと交流し、コミュニティーを育成することに時間を使いましょう。ソーシャルリスニングおよびモニタリング専用のリソースを配置したり、必要に応じてコメントや投稿を社内で紹介したり、ファンの意見を募ってみたりするのも効果的です。
最近では、プロ並みのコンテンツをすばやく簡単に作成できるオンラインツールがいくつも提供されています。たとえば、画像作成ツール「Canva」を使えば、ブランディングを反映しつつ、オーディエンスの心をとらえる画像をデザインできます。画像などのクリエイティブなコンテンツについて検討する際は、スタイルやタイプの違うコンテンツを複数用意してテストしてみましょう。同じ画像が何度も配信されると、ソーシャルメディアを見慣れたオーディエンスはうんざりしてしまいます。
ソーシャル メディア マーケティングは刻一刻と変化し続ける、難しいながらもやりがいのあるマーケティング分野です。担当者の皆さんも、常に頭をフル回転させていることでしょう。HubSpotでは、世界中の約3,400人のマーケティング担当者へのアンケートに基づく70項目以上の調査データとトレンドをレポートにまとめました。世界のマーケティング担当者たちの考えもぜひ参考にしてみてください。下のバナーのダウンロードボタンをクリックすると、HubSpotの調査データを詳しくご覧いただけます。
HubSpotアカデミーのCrystal Kingが、ソーシャルメディアの最新のトレンド予測について、データを交えて詳しく解説します。これを読めば、後回しになりがちなソーシャルメディア戦略の立案に自信を持って取り組めるようになるでしょう。
Christina Perricone
コンテンツマネージャー
Cynthia Price
マーケティング担当バイスプレジデント
Bridget Zingale
アナリティクス担当ディレクター